Vision ビジョン

アビー設立と歴史

食品の機械を作っているのに、
食材のことを知ってる人間がいない!

父が社長で、3人の兄たちも働く製菓・製パン機械メーカーに入社して3年たった頃、にわかに疑問が湧き上がってきたのです。「これからのメーカーは、問屋に卸すだけではやっていけない。営業部を設置するべきだ」と。当時は問屋にすべての情報がある時代。営業がユーザーと直に接してニーズを聞かなければ、時代に取り残されるのではないかという危機感を覚えていたのです。それならおまえがやってみろと、私が営業に出ることになりました。そこで日々勉強するうち、また疑問を感じたのです。「うちは食品の機械を作っているのに、食材のことを知ってる人間がいないじゃないか!」。再び父にその疑問を訴えると、月締めをしっかりと守って売上げを維持することができれば、私が食材の勉強をしてもよいということになった。早速、いろいろな大手食品メーカーの門を叩きましたが、どこも門前払い。よその会社の身勝手な若造を受け入れてくれる会社なんてそうそうありません。唯一、受け入れて下さったのが、食品素材加工メーカーの株式会社不二製油。当時の丸山一郎開発部長が、「おもしろい坊やが来た」と声をかけて頂いたのです。

生クリーム冷凍機をフランスに納入
アビーの萌芽がそこに生まれました

26歳から20年間、丸山部長はじめ不二製油の社員の方々に、素材のことを徹底的に教え込んで頂きました。その教えが私の体に染み込み、アビー設立に至ったのだと今でもつくづく思います。そんなある時のことです。「生クリーム凍結機を開発してみないか?」と、丸山部長に言われました。当時、フランス留学第1期生のケーキ職人が冷凍技術を持ち帰ってきたのですが、生クリームを冷凍すると変質して風味が落ちてしまう。フランス人は気にしていなくても、日本では質が落ちると問題視されていたのです。すぐに不二製油との共同研究が始まりました。さらに、父の会社では冷凍機を製造したことがなかったため、大手電機メーカーの門を叩いて冷凍技術を一から学ばせてもらいました。1975年に完成した生クリーム冷凍機を最初に納入したのは、フランスの国立職業訓練校。M.O.F.(フランス国家最優秀職人章)の称号を持つパティシエからも高い評価をいただきました。ただ、こうも言われたのです。「トレーの上には肉や野菜、魚、たくさんある。お菓子はその中の一つでしかない」と。CASエンジンの開発へと駆り立てる、まさに大きな出来事でした。CASエンジンはフランスから始まったといっても過言ではありません。